顧客からの指示で、橋本さんチーム以外は待機となった。
自分はこれまでの会計チームの進捗レポートとマニュアルを作成し、斎藤さんらに渡した。実質の引き継ぎになる可能性が高い。
Pはコンサル内会議で、契約どおりに進捗していると言っていた。
「強くなることは鈍くなること」
— 野島 伸司
” Becoming strong means becoming numb.”
— Shinji Nojima
▶ 聖者の行進
来週はまたステコミだ。今回は前向きな内容になればいいけど。
PMOからもPからもまだ何の連絡も指示もきていない。ということは、PJリソースを減らすということに合意した以上の進捗はないということ。それかまた直前になって、色々な確認や指示が飛んでくるということだ。
斎藤さん達は変わりなく、むしろのんびりとしている。
「この恐怖が俺をここまで連れてきたんだ」
— アイゼン
” It’s my fear that brought me this far.“
— Aizen
川上さんは基本的にベクトルが自分に向いている。炎上PJだろうが、Dがどうであろうが、自分が何を得られるかを軸にしている。
そこには長期的キャリア志向があり、望む生き方という目的がある。
だから、今いる場所にあまり執着していない(ように見える)。
”コンサルは自分しか売るものがない。”川上さんはそれを体現している。
「正確には「何をしたらよいか?」ではなく、自分を使って「何をしたいか?」である」
— P.F.ドラッカー
” The real question is not ‘What should I do?’ but rather ‘What do I want to do with myself? “
— P.F. Drucker
オフィスでまた川上さんに会った。ランチに誘ってもらったが、川上さんはあまり食べなかった。なんでも、昨夜、仕事終わりにDにご飯に誘われ、23時過ぎに寿司屋に行ったらしい。
令和の今でも、業界の働き方はそう変わっていない。何十年もこの働き方を続けているDやPにはこれが普通であり、善意なのだ。
川上さんは3つくらいしか変わらないが、自分に「若いんだからちゃんと食べなさい」と言う。川上さんの生きることを面白がっている感じが好きだ。
「どんな洗練された大人の中にも、外に出たくてしょうがない小さな子供がいる」
— ウォルト・ディズニー
” Inside every sophisticated grownup adult is a little kid just dying to get out.”
— Walt Disney
川上さんのいるPJも炎上しているそうで、メンバーには当面待機指示が出ているらしい。うちよりも本格的な炎上で、担当Dは出禁になったそうだ。
今はパートナーが謝罪を試みてるところらしいが、もうここまでになると謝罪のための謝罪で、次につながることはなさそうだ。川上さんにはリソースマネジメント部から、新しいPJ候補がいくつかきているとのこと。
「最初はダメでも 何度でもやり直せという態度は 誤りである」
— P.F.ドラッカー
” The attitude of starting over again and again, even if it fails at first, is wrong.”
— P.F. Drucker
出社すると、フリースペースでPJ秘書の杉さんと同じPJの宮井さんが雑談していた。こちらに気付いて、手を振ってくれる。会釈で返す。
宮井さんは、海外SAPチームだ。出張が多いので、久しぶりに姿を見た。元気そうだ。帰国子女の宮井さんは新卒2年目。出張に連れて行っても、通訳しか出来ないとPMOにクレーム?が来ていた時期もあったが、パートナーは取り合わなかった。そんなのわかっててアサインしているのだ。通訳ができればそれでいい。
通訳以外できるようになるかは、宮井さん次第。成長の機会は与えられるが、方法までは与えられない。
「人を問題や費用や脅威として見るのではなく、資源として、機会として見ることを学ばなければならない。 管理ではなくリードすること、支配ではなく方向づけることを学ばなければならない」
— P.F.ドラッカー
” We must learn to see people not as problems, costs, or threats, but as resources and opportunities. We must learn to lead rather than manage, to guide rather than control.”
— P.F. Drucker
新卒でファームに入った当初、数ヵ月おきに4つのPJを回った。
オリエンテーションみたいなもので、PJにはどんなものがあるかを知り、リソースマネジメント部門に希望を伝えるためのものだ。
PJを見学しているのは気楽だった。
オリエンテーションで回ったPJは、傍目からはどこも炎上してなかった。
「正確には「何をしたらよいか?」ではなく、自分を使って「何をしたいか?」である」
— P.F.ドラッカー
“ Strictly speaking, the question is not ‘What should I do? ‘but rather ‘What do I want to do—with myself?”
— P.F. Drucker